万田坑(まんだこう)の歴史(れきし)

万田坑(まんだこう)は宮原坑(みやはらこう)(大牟田(おおむた)市(し))の南(みなみ)約(やく)1.5キロメートルの位置(いち)に開か(ひらか)れ、三井(みつい)の総力(そうりょく)を挙げ(あげ)て整備(せいび)された、わが国(わがくに)最大(さいだい)規模(きぼ)の竪坑(たてこう)です。明治(めいじ)30年(ねん)(1897)から同(どう)35年(ねん)(1902)にかけて作ら(つくら)れた第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)と、明治(めいじ)31年(ねん)(1898)から同(どう)41年(ねん)(1908)にかけて作ら(つくら)れた第(だい)二(に)竪坑(たてこう)とからなります。

大正(たいしょう)から昭和(しょうわ)にかけて、各(かく)施設(しせつ)を電化(でんか)するなど設備(せつび)や機械(きかい)も充実(じゅうじつ)し、出炭(しゅったん)量(りょう)も増大(ぞうだい)していきました。大正(たいしょう)2年(ねん)(1913)～昭和(しょうわ)6年(ねん)(1931)の19年間(ねんかん)に930万(まん)8340トン(年(とし)平均(へいきん)66万(まん)トン)、昭和(しょうわ)2年(ねん)(1927)～20年(ねん)(1945)の19年間(ねんかん)に1643万(まん)126トン(年(とし)平均(へいきん)86万(まん)トン)を出炭(しゅったん)しています。

昭和(しょうわ)26年(ねん)(1951)、採炭(さいたん)効率(こうりつ)が低下(ていか)したために採炭(さいたん)を中止(ちゅうし)し、第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)などの諸(しょ)施設(しせつ)が解体(かいたい)されました。しかし、その後(そのご)も第(だい)二(に)竪坑(たてこう)は揚水(ようすい)や坑内(こうない)管理(かんり)のため、平成(へいせい)9年(ねん)(1997)3月(さんがつ)まで施設(しせつ)が維持(いじ)されていました。

現在(げんざい)、第(だい)二(に)竪坑(たてこう)・ヤグラ、巻(まき)揚(よう)機(き)室(しつ)、倉庫(そうこ)およびポンプ室(しつ)、安全(あんぜん)燈室および浴室(よくしつ)、事務所(じむしょ)、山ノ神(やまのかみ)祭祀(さいし)施設(しせつ)などが保存(ほぞん)されています。これらは、わが国(わがくに)の近代(きんだい)化(か)に大きな(おおきな)役割(やくわり)を果たし(はたし)た三池(みいけ)炭鉱(たんこう)に現存(げんそん)する明治(めいじ)・大正(たいしょう)期(き)における最大(さいだい)級(きゅう)の施設(しせつ)であり、当時(とうじ)の優れ(すぐれ)た炭鉱(たんこう)の技術(ぎじゅつ)を伝え(つたえ)ているため、平成(へいせい)10年(ねん)(1998)5月(ごがつ)1日(にち)、国(くに)の重要(じゅうよう)文化財(ぶんかざい)に指定(してい)されました。

また第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)跡(あと)、汽罐場(じょう)跡(あと)、坑内(こうない)トロッコ軌条(きじょう)、職場(しょくば)、プラットホームなどが遺(のこ)存(そん)し、炭鉱(たんこう)のシステム(採炭(さいたん)、選炭(せんたん)、運(うん)炭(すみ))が分かる(わかる)ため、炭鉱(たんこう)施設(しせつ)としてはわが国(わがくに)では唯一(ゆいいつ)、平成(へいせい)12年(ねん)(2000)1月(いちがつ)19日(にち)、国史(こくし)跡(あと)として指定(してい)されました。

平成(へいせい)20・21年(ねん)(2008・2009)で、第(だい)二(に)竪坑(たてこう)ヤグラや巻(まき)揚(よう)機(き)室(しつ)などの保存(ほぞん)修理(しゅうり)が終了(しゅうりょう)したため、平成(へいせい)22年(ねん)(2010)4月(しがつ)25日(にち)より、一般(いっぱん)公開(こうかい)が開始(かいし)されました。

そして、万田坑(まんだこう)を含む(ふくむ)「明治(めいじ)日本(にっぽん)の産業(さんぎょう)革命(かくめい)遺産(いさん)　製鉄(せいてつ)・製鋼(せいこう)、造船(ぞうせん)、石炭(せきたん)産業(さんぎょう)」は、平成(へいせい)27年(ねん)(2015)7月(しちがつ)に、ユネスコ世界(せかい)文化(ぶんか)遺産(いさん)に登録(とうろく)されました。

当時(とうじ)の写真(しゃしん)

写真(しゃしん)A:建設(けんせつ)中(ちゅう)の万田(まんだ)第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)(明治(めいじ)31年(ねん)頃(ごろ))

写真(しゃしん)B:これから仕事場(しごとば)へ(明治(めいじ)40年(ねん)頃(ごろ)の風景(ふうけい))

写真(しゃしん)C:石炭(せきたん)は三池(みいけ)港(こう)へと運ば(はこば)れました(大正(たいしょう)期(き)の万田坑(まんだこう))

写真(しゃしん)D:巻(まき)揚(よう)機(き)を操作(そうさ)する青年(せいねん)が草履(ぞうり)ばきなのに注目(ちゅうもく)(大正(たいしょう)期(き)の第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)巻(まき)揚(よう)機(き))

写真(しゃしん)E:整備(せいび)されていく町並み(まちなみ)、手前(てまえ)にはプールも見(み)られます。(昭和(しょうわ)14年(ねん)頃(ごろ))

写真(しゃしん)F:採炭(さいたん)中止(ちゅうし)後(ご)、第(だい)一(いち)竪坑(たてこう)南側(みなみがわ)の施設(しせつ)は解体(かいたい)されました。(昭和(しょうわ)26年(ねん)～29年(ねん)頃(ごろ)の写真(しゃしん))

写真(しゃしん)A～Eは「三池(みいけ)鉱業(こうぎょう)所(しょ)沿革(えんかく)史(し)」から収載(しゅうさい)

写真(しゃしん)Fは三井鉱山(みついこうざん)(株(かぶ))から提供(ていきょう)