宮崎兄弟の生家施設は令和5(2023)年に開館30周年を迎えました。荒尾市ではこれを記念して、夏には「小学館デジタルまんが偉人伝 宮崎兄弟物語」の作画を担当された漫画家・木村直巳先生をお招きして講演会・サイン会を、冬には宮崎滔天を題材とした熊本県出身の劇作家・宮本研原作の演劇「夢・桃中軒牛右衛門の」を公演しました。
これまで学術的に高い評価を得てきた滔天ら宮崎兄弟ですが、一般的にはその活動や歴史的価値についてあまり知られていません。歴史に興味が無い人でも、実は宮崎兄弟の活動が今の日本・荒尾と、孫文ゆかりの地域とを繋ぐことに貢献していることを知ってもらえたらと思い、漫画や演劇という文化芸術から宮崎兄弟の活動にアプローチする取組みをしました。
まんが「宮崎兄弟物語」トークショー
8月19日にシティモール・センターコートにて、木村直巳先生によるトークショーを開催。木村先生は、ドラマにもなった『監察医朝顔』の漫画を描いた方で、プロの漫画家のお話を聞く貴重な機会と多くの方がイベントに参加してくださいました。漫画制作のなかで感じた宮崎兄弟・その魅力について沢山語っていただき、トークショー終了後には本イベント限定でカラー表紙へのサイン会も実施しました。
トークショーが始まると会場には大勢の方が |
作画するなかで感じた宮崎兄弟の魅力を語る木村直巳先生 |
トークが進むにつれて立ち見の方も |
トークショーの後にはサイン会も実施 |
当日限定で原画も展示 手書きの細やかさ…匠の技に感嘆 |
木村直巳先生(左)と司会を務めた荒尾観光大使・西村あかねさん(右) |
演劇「夢・桃中軒牛右衛門の」荒尾公演
12月10日、荒尾市出身の演出家で俳優の流山児祥氏が再構成した演劇「夢・桃 中軒牛右衛門の」を文化センター大ホールで公演しました。今日の荒尾市の国際交流に繋がる宮崎滔天と家族、そして中国革命の仲間たちとの 絆と交流のようすがつぶさに描かれ、荒尾市内だけでなく九州圏内から多くの方が観覧しに訪れました。今作は、日本アカデミー賞脚本賞を受賞した詩森ろば氏による脚色で、滔天の妻・ツチやその姉・ナミ(本名は卓)がストーリーテラーとして物語を牽引するなど、過去に公演された 「夢」と一味違う魅力があり、観客は一気にその世界へ引き込まれたようでした。続く東京公演も連日満員に近い動員で、宮崎滔天らを広く発信する絶好の機会となりました。
荒尾公演限定 オープニングを荒尾太鼓が演奏 滔天をイメージした「怒涛」で一気に時代は明治へ |
劇作家・詩森ろばさんの脚色で今回の演劇は滔天の妻・ツチとその姉・ナミがけん引 |
歌と踊りもあり、楽しい雰囲気で物語が進みます |
ふいによぎる「自分は何をしているのか」という気持ちを吐露する孫文と、それを聞くツチ。革命の裏側でこんなやり取りもあったのかも |
滔天を結節点に、新しい中国、アジア、世界を作ろうとそんな思いを持つ同志たちが国を超えて繋がっていく |
堅苦しいことばかりじゃなくて、ふざけるようなそんな楽しい時間も重ねて深まっていく日本・中国の同志たち |
雑誌を作ったり、お金を作ったり、新しい国作りのため励む革命家たちの日常 |
今回の演劇の見どころは滔天が師事した桃中軒雲右衛門の浪花節 華々しい舞台とは逆に、物語の雲行きはだんだん怪しく |
仲間の死の報せ、そして孫文に国外退去を命ずる通告が。歴史で簡単に「革命」と習うけど、そこに至るには非常に困難で辛いことも |
国の枠を超えて中国の革命を本気で目指していた北一輝と滔天。時代はその思いとは逆方向へと流れていく |
仲間が亡くなり、日中関係も悪化し葛藤する滔天。そんな滔天の前に現れた次代を担う若者 |
約100年前により良い世界をめざして活動した家族と、その仲間たちの生きざま
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舞台関係者による記念写真 多くの方のご協力・思いにより完成した舞台でした |
故郷に凱旋した流山児さん(左)と浅田市長(右) |
舞台関係者による生家施設見学 1913年の孫文来荒時の記念写真を真似して |