東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ(EAAFP)
北はアラスカ、シベリアなどの地域から日本や朝鮮半島などを通り、東南アジア、オーストラリアからニュージーランドへかけての地域は、多くの渡り鳥が行き交う渡りのルートの交錯する地域として、「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」と呼ばれています。このフライウェイ全体の中で、繁殖地や中継地、越冬地が守られなければ渡り鳥たちは生きていけません。
日本周辺の渡り鳥たちの通る、東アジア・オーストラリア地域フライウェイの国々や渡り鳥を保護する活動を行っている人々が協力するのが「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)」です。
現在31の国や団体が参加し、渡り鳥の生息状況や保護活動について、情報や技術の交換が行われています。EAAFPの事務局は韓国のインチョンにあり、パートナー団体の代表が集まるパートナーシップ会議で活動内容が話し合われています。
- 繁殖地:つがいになり、卵を産んで、ひなを育てる場所
- 中継地:渡りの途中に翼を休め、栄養補給する場所
- 越冬地:北半球が冬の間、寒さを避けて過ごす暖かい場所
東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク
EAAFP上で、渡り鳥の重要な生息地が参加して重要生息地ネットワークを作っています。
参加湿地数(2019年5月現在)
- 世界全体144か所
- 日本国内33か所
EAAFPでは、それぞれの参加地が行っている、環境の調査や保全、管理、環境教育の活動について、情報を集め発信することで、参加地の活動の活発化を図ります。(写真 西村 誠)
なお、日本では、種類ごとに生息している場所や保全活動内容が異なることが多いため、シギ・チドリ類、ガンカモ類、ツル類の3つの種類ごとに重要生息地ネットワークを作っています。
参考:フライウェイ・ネットワークの参加地選定基準
生息地のフライウェイ・ネットワーク参加について検討するために、本パートナーシップは、以下の基準を採用しています。
a. ラムサール条約の以下の選定基準
- 基準2 危急種、絶滅危惧種または近絶滅危惧種と特定された種、または絶滅のおそれのある生態学的群集を支えている
- 基準5 20,000羽以上の水鳥を定期的に支えている
- 基準6 水鳥の一つの種または亜種の個体群において、個体数の1%を定期的に支えている
b. アジア太平洋渡り性水鳥保全戦略で適用されている渡来についての以下の基準
- 渡りにおいて、水鳥の1つの種あるいは亜種の個体群において、個体数の0.25%を定期的に支えている
- 渡りの期間中、一度に5,000羽以上の水鳥を定期的に支えている
c. 例外的状況
例外的状況として、フライウェイ個体群維持のために重要な渡り性水鳥の生活環のあるレベルまたは段階において、渡り性水鳥を支えている場合には、その生息地を推薦することができます。このような推薦の根拠については、パートナーシップが一件ごとに検討します。
荒尾干潟は、東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワークの参加地です。
荒尾市から環境省へ荒尾干潟の本ネットワークへの参加申請を行い、環境省からパートナーシップ事務局へ荒尾干潟を参加候補地として推薦し、平成25年6月17日に113番目のネットワーク参加地となりました。 登録された範囲(約754ヘクタール)は、国指定鳥獣保護区特別保護地区に指定され、平成24年7月にラムサール条約湿地に登録されています。
承認された理由
- 国際自然保護連合(IUCN)が作成したレッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある2種の渡り性水鳥(クロツラヘラサギ、ズグロカモメ)が確認されている。
- 2種(ズグロカモメ、キアシシギ)の個体数の1%以上を定期的に支えている。
- チュウシャクシギ、オオソリハシシギ、ソリハシシギ、キアシシギ、ハマシギ、キョウジョシギ、ダイゼン、メダイチドリ、シロチドリの個体数の0.25%以上を定期的に支えている。
ネットワーク登録認定証授与式
荒尾市で平成25年6月30日に開催された「ラムサール条約湿地登録一周年記念 荒尾干潟の日2013」の中で九州地方環境事務所長より荒尾市長へ認定証が授与されました。