世界(せかい)遺産(いさん)に関する(にかんする)用語(ようご)集(しゅう)

UNESCO(ユネスコ)

United Nations Educational,Scientific and Cultural Organization(国際(こくさい)連合(れんごう)教育(きょういく)科学(かがく)文化(ぶんか)機関(きかん))。国連(こくれん)憲章(けんしょう)により1945年(ねん)設立(せつりつ)。諸国(しょこく)間(かん)の文化(ぶんか)的(てき)な協力(きょうりょく)で世界(せかい)平和(へいわ)と安全(あんぜん)保障(ほしょう)に寄与(きよ)することが目的(もくてき)。日本(にっぽん)の加盟(かめい)は1951年(ねん)。世界(せかい)遺産(いさん)条約(じょうやく)は1972年(ねん)のユネスコ総会(そうかい)で採択(さいたく)された。2022年(ねん)7月(しちがつ)現在(げんざい)の加盟(かめい)国(こく)数(すう)は193ヶ国(かこく)、準(じゅん)加盟(かめい)12地域(ちいき)である。

世界(せかい)遺産(いさん)センター

ユネスコの世界(せかい)遺産(いさん)委員(いいん)会(かい)の運営(うんえい)、締約(ていやく)国(こく)への登録(とうろく)準備(じゅんび)のアドバイス、情報(じょうほう)公開(こうかい)や世界(せかい)遺産(いさん)のデータベース化(か)を行う(おこなう)。特に(とくに)開設(かいせつ)されているウェブ・サイトは情報(じょうほう)量(りょう)が多く(おおく)、世界(せかい)遺産(いさん)のほとんどを知る(しる)ことができる。

顕著(けんちょ)な普遍(ふへん)的(てき)価値(かち)(OUV)

国家(こっか)間(かん)の境界(きょうかい)を超越(ちょうえつ)し、人類(じんるい)全体(ぜんたい)にとって現代(げんだい)および将来(しょうらい)の世代(せだい)に共通(きょうつう)した重要(じゅうよう)性(せい)をもつような、傑出(けっしゅつ)した文化(ぶんか)的(てき)な意義(いぎ)およびまたは自然(しぜん)的(てき)な価値(かち)を意味(いみ)する。従って(したがって)、そのような遺産(いさん)を恒久(こうきゅう)的(てき)に保護(ほご)することは国際(こくさい)社会(しゃかい)全体(ぜんたい)にとって最高(さいこう)水準(すいじゅん)の重要(じゅうよう)性(せい)を有する(ゆうする)。世界(せかい)遺産(いさん)委員(いいん)会(かい)は、世界(せかい)遺産(いさん)一覧(いちらん)表(ひょう)に資産(しさん)を登録(とうろく)するための基準(きじゅん)の定義(ていぎ)を行う(おこなう)。

暫定(ざんてい)リスト(暫定(ざんてい)一覧(いちらん)表(ひょう))

各国(かっこく)が1～10年(ねん)以内(いない)に世界(せかい)遺産(いさん)への登録(とうろく)を目指す(めざす)物権(ぶっけん)として各国(かっこく)がユネスコ世界(せかい)遺産(いさん)センターに提出(ていしゅつ)するリスト。このリストに登載(とうさい)のない資産(しさん)については、世界(せかい)遺産(いさん)委員(いいん)会(かい)における世界(せかい)遺産(いさん)登録(とうろく)の検討(けんとう)に付さ(ふさ)れないため、少なくとも(すくなくとも)登録(とうろく)推薦(すいせん)を行う(おこなう)1年(ねん)前(まえ)までにユネスコ世界(せかい)遺産(いさん)センターに提出(ていしゅつ)する。世界(せかい)遺産(いさん)に登録(とうろく)するためには、改めて(あらためて)推薦(すいせん)書(しょ)を提出(ていしゅつ)し審査(しんさ)を求める(もとめる)。日本(にっぽん)の場合(ばあい)、2023年(ねん)9月(くがつ)末(まつ)現在(げんざい)、次(つぎ)の5物件(ぶっけん)がユネスコの暫定(ざんてい)リストに記載(きさい)されている。

1. 古都(こと)鎌倉(かまくら)の寺院(じいん)・神社(じんじゃ)ほか(神奈川(かながわ)県(けん))
2. 彦根城(ひこねじょう)(滋賀(しが)県(けん))
3. 飛鳥(あすか)・藤原(ふじわら)の宮(みや)都(と)と関連(かんれん)資産(しさん)群(ぐん)(奈良(なら)県(けん))
4. 佐渡(さど)島(とう)の金山(かなやま)(新潟(にいがた)県(けん))
5. 平泉(ひらいずみ)ー仏(ふつ)国土(こくど)(浄土(じょうど))を表す(あらわす)建築(けんちく)・庭園(ていえん)及び(および)考古学(こうこがく)的(てき)遺産(いさん)群(ぐん)ー(岩手(いわて)県(けん))

文化庁(ぶんかちょう)

文化(ぶんか)の振興(しんこう)・普及(ふきゅう)や文化財(ぶんかざい)の保存(ほぞん)・活用(かつよう)などに関する(にかんする)行政(ぎょうせい)を行う(おこなう)機関(きかん)。日本(にっぽん)の世界(せかい)文化(ぶんか)遺産(いさん)候補(こうほ)を選定(せんてい)し、ユネスコに推薦(すいせん)する。

文化財(ぶんかざい)保護(ほご)法(ほう)

文化財(ぶんかざい)を保護(ほご)するため、1950年(ねん)(昭和(しょうわ)25)制定(せいてい)・公布(こうふ)された法律(ほうりつ)。前年(ぜんねん)の法隆寺(ほうりゅうじ)金堂(こんどう)炎(えん)上(じょう)が契機(けいき)となり、議員(ぎいん)立法(りっぽう)により制定(せいてい)された。その後(そのご)、社会(しゃかい)情勢(じょうせい)などの変遷(へんせん)に適合(てきごう)させるため、1975年(ねん)(昭和(しょうわ)50)、同(どう)法(ほう)に大(だい)改正(かいせい)がなされ、新た(あらた)に、周囲(しゅうい)の環境(かんきょう)と一体(いったい)をなして歴史(れきし)的(てき)風致(ふうち)を形成(けいせい)している伝統(でんとう)的(てき)建造(けんぞう)物(ぶつ)、有形(ゆうけい)・無形(むけい)の民俗(みんぞく)資料(しりょう)をあわせた民俗(みんぞく)文化財(ぶんかざい)などが加え(くわえ)られた。

記念(きねん)物(ぶつ)

記念(きねん)物(ぶつ)とは以下(いか)の文化財(ぶんかざい)の総称(そうしょう)。

1. 貝塚(かいづか)、古墳(こふん)、都城(みやこのじょう)跡(あと)、城跡(じょうせき)旧宅(きゅうたく)等(とう)の遺跡(いせき)でわが国(わがくに)にとって歴史(れきし)上(じょう)または学術(がくじゅつ)上(じょう)価値(かち)の高い(たかい)もの(史跡(しせき))
2. 庭園(ていえん)、橋梁(きょうりょう)、峡谷(きょうこく)、海浜(かいひん)、山岳(さんがく)等(とう)の名勝(めいしょう)地(ち)でわが国(わがくに)にとって学術(がくじゅつ)上(じょう)または鑑賞(かんしょう)上(じょう)価値(かち)の高い(たかい)もの(名勝(めいしょう))
3. 動物(どうぶつ)、植物(しょくぶつ)および地質(ちしつ)鉱物(こうぶつ)でわが国(わがくに)にとって学術(がくじゅつ)上(じょう)価値(かち)の高い(たかい)もの(天然記念物(てんねんきねんぶつ))

国(くに)はこれらの記念(きねん)物(ぶつ)のうち重要(じゅうよう)なものをこの種類(しゅるい)に従って(にしたがって)「史跡(しせき)」「名勝(めいしょう)」「天然記念物(てんねんきねんぶつ)」に指定(してい)し、これらの保護(ほご)を図っ(はかっ)ている。そのうち特に(とくに)重要(じゅうよう)なものについては、それぞれ「特別(とくべつ)史跡(しせき)」「特別(とくべつ)名勝(めいしょう)」「特別(とくべつ)天然記念物(てんねんきねんぶつ)」に指定(してい)している。史跡(しせき)等(とう)に指定(してい)されたものについては、現状(げんじょう)を変更(へんこう)し、あるいはその保存(ほぞん)に影響(えいきょう)を及ぼす(およぼす)行為(こうい)をしようとする場合(ばあい)、文化財(ぶんかざい)保護(ほご)法(ほう)により文化庁(ぶんかちょう)長官(ちょうかん)の許可(きょか)を要する(ようする)こととされている。規制(きせい)により財産(ざいさん)権(けん)に一定(いってい)限度(げんど)を超える(こえる)損失(そんしつ)を生じ(しょうじ)た場合(ばあい)には補償(ほしょう)を要する(ようする)こととされているが、通例(つうれい)、地方(ちほう)公共(こうきょう)団体(だんたい)が国庫(こっこ)補助(ほじょ)を受け(うけ)てその土地(とち)を買い取る(かいとる)ことにより実質(じっしつ)的(てき)な補償(ほしょう)に配慮(はいりょ)している。また、史跡(しせき)等(とう)の活用(かつよう)を広く(ひろく)図る(はかる)ため、国庫(こっこ)補助(ほじょ)によりその整備(せいび)を行っ(おこなっ)ている。

無形(むけい)遺産(いさん)

口承(こうしょう)による伝統(でんとう)、芸能(げいのう)、社会(しゃかい)的(てき)習慣(しゅうかん)・儀式(ぎしき)、伝統(でんとう)工芸(こうげい)技術(ぎじゅつ)などの無形(むけい)の文化(ぶんか)のこと。無形(むけい)遺産(いさん)は、2003年(ねん)のユネスコ総会(そうかい)で「無形(むけい)文化(ぶんか)遺産(いさん)保護(ほご)条約(じょうやく)」が採択(さいたく)され、有形(ゆうけい)の文化財(ぶんかざい)である世界(せかい)文化(ぶんか)遺産(いさん)と同様(どうよう)に保護(ほご)されることになった。それに先立つ(さきだつ)1998年(ねん)には「人類(じんるい)の口承(こうしょう)および無形(むけい)遺産(いさん)の傑作(けっさく)の宣言(せんげん)」が採択(さいたく)され、「人類(じんるい)の口承(こうしょう)および無形(むけい)遺産(いさん)の傑作(けっさく)」が選出(せんしゅつ)されている。それらは「無形(むけい)文化(ぶんか)遺産(いさん)保護(ほご)条約(じょうやく)」が発効(はっこう)した時点(じてん)で「無形(むけい)遺産(いさん)」として登録(とうろく)された。「無形(むけい)文化(ぶんか)遺産(いさん)保護(ほご)条約(じょうやく)」の締約(ていやく)国(こく)数(すう)は182ヶ国(かこく)(2023年(ねん)11月(じゅういちがつ)現在(げんざい))となっており、2022年(ねん)11月(じゅういちがつ)には荒尾(あらお)市(し)の野原(のばら)八幡宮(はちまんぐう)風流(ふりゅう)を含む(ふくむ)41件(けん)の国(くに)指定(してい)重要(じゅうよう)無形(むけい)民俗(みんぞく)文化財(ぶんかざい)から構成(こうせい)される「風流(ふりゅう)踊(おどり)」がユネスコ無形(むけい)文化(ぶんか)遺産(いさん)に登録(とうろく)された。

近代(きんだい)化(か)遺産(いさん)

近代(きんだい)化(か)遺産(いさん)は、江戸(えど)時代(じだい)から第(だい)2次(じ)世界(せかい)大戦(たいせん)終結(しゅうけつ)頃(ごろ)までの間(ま)に建設(けんせつ)され、日本(にっぽん)の近代(きんだい)化(か)に貢献(こうけん)した産業(さんぎょう)、交通(こうつう)、土木(どぼく)に係る(かかる)建造(けんぞう)物(ぶつ)である。これらの近代(きんだい)化(か)遺産(いさん)は、自然(しぜん)災害(さいがい)、開発(かいはつ)の進展(しんてん)、技術(ぎじゅつ)革新(かくしん)、生活(せいかつ)様式(ようしき)の変化(へんか)等(とう)により、消滅(しょうめつ)の危機(きき)にさらされているものが多い(おおい)。近年(きんねん)は、新た(あらた)な観光(かんこう)資源(しげん)、魅力(みりょく)的(てき)なまちづくり、伝統(でんとう)産業(さんぎょう)の振興(しんこう)などの対象(たいしょう)として社会(しゃかい)的(てき)関心(かんしん)が高まっ(たかまっ)ている。

産業(さんぎょう)遺産(いさん)

産業(さんぎょう)の近代(きんだい)化(か)に貢献(こうけん)した遺産(いさん)で、通常(つうじょう)は産業(さんぎょう)革命(かくめい)以後(いご)のものをさす。代表(だいひょう)的(てき)なものに「エンゲルスバーリ製鉄(せいてつ)所(しょ)(スウェーデン)」「ダージリン・ヒマラヤ鉄道(てつどう)(インド)」などがある。

国内(こくない)には世界(せかい)文化(ぶんか)遺産(いさん)に登録(とうろく)されている「石見(いわみ)銀山(ぎんざん)遺跡(いせき)とその文化(ぶんか)的(てき)景観(けいかん)」や「富岡(とみおか)製糸(せいし)場(じょう)と絹(きぬ)産業(さんぎょう)遺産(いさん)群(ぐん)」、そして、万田坑(まんだこう)や専用(せんよう)鉄道(てつどう)敷(しき)跡(あと)を含む(ふくむ)「明治(めいじ)日本(にっぽん)の産業(さんぎょう)革命(かくめい)遺産(いさん)　製鉄(せいてつ)・製鋼(せいこう)、造船(ぞうせん)、石炭(せきたん)産業(さんぎょう)」などがある。

負(まけ)の遺産(いさん)

人類(じんるい)が犯し(おかし)た二度と(にどと)繰り返し(くりかえし)てはならない悲劇(ひげき)の証拠(しょうこ)ともいうべきものとして世界(せかい)遺産(いさん)に登録(とうろく)された遺産(いさん)のこと。(アウシュヴィッツ強制(きょうせい)収容(しゅうよう)所(しょ)、原爆(げんばく)ドームなど)

危険(きけん)にさらされている世界(せかい)遺産(いさん)(危機(きき)リスト)

戦争(せんそう)、自然(しぜん)災害(さいがい)、開発(かいはつ)等(とう)の工事(こうじ)、環境(かんきょう)汚染(おせん)等(とう)によって重大(じゅうだい)かつ明確(めいかく)な危険(きけん)にさらされている世界(せかい)遺産(いさん)の中(なか)で、特に(とくに)保存(ほぞん)に緊急(きんきゅう)を要する(ようする)ものと決定(けってい)され「危険(きけん)にさらされている世界(せかい)遺産(いさん)リスト」に登録(とうろく)された遺産(いさん)のこと。「危機(きき)リスト」とも言う(いう)。危険(きけん)遺産(いさん)リストに登録(とうろく)された場合(ばあい)は、国際(こくさい)的(てき)な協力(きょうりょく)を仰ぎ(あおぎ)、世界(せかい)遺産(いさん)基金(ききん)からの財政(ざいせい)的(てき)な支援(しえん)を申請(しんせい)することができる。